日本国籍の取得と喪失

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日本国籍取得の要件について

 日本国籍の有無について事実と異なる内容を申告して身分事項に関する届出(婚姻届や出生届など)を行ったり、日本国旅券や証明書を申請した場合、実際に国籍を取得したり喪失した事実が発生した日以降の手続きが無効となるだけでなく、場合によってはその行為自体について法的な責任を問われる可能性があります。


認知をされた子供の国籍取得

日本国籍の取得や喪失(得喪)については国籍法という法律に規定されており、同法の定めに則り日本国籍の有無が決まります。

(1) 日本国籍取得
 日本国籍は、出生又は帰化により取得することができます。
 出生により日本国籍を取得するには、出生時に両親のいずれかが日本国籍者であることが定められています。ここでいう両親とは、成立した婚姻関係にある両親であり、結婚していない両親から出生した場合(非嫡出子)は、母親が日本国籍であるか、日本国籍である父親から胎児認知されている場合に限り出生とともに日本国籍を取得できます。
 ただし、出生により重国籍になる日本国籍者でも、出生から3ヶ月以内に国籍留保届(出生届の中に国籍留保届の欄があります)を提出しなかった場合は、日本国籍を喪失することとなります。

(2) 日本国籍喪失
 日本国籍を有する人が国籍を失うケースは、自己の志望により外国籍を取得した場合(国籍法第11条)と、出生から3ヶ月以内の国籍不留保(同第12条)があります。
 一方、国籍付与に関し生地主義を取る外国の国籍を出生に伴い取得した場合など、自己の志望とは関係なく外国籍を取得した場合には、日本国籍を喪失することはありません。ただし、出生届とともに国籍留保届を出生から3ヶ月以内に提出する必要があります。

日本国籍の得喪の届出義務について

 日本国籍の得喪については、戸籍法において一定期間内に届け出ることが義務づけられており、この届出に基づき戸籍にも国籍得喪の事実が反映されます。

国籍取得の場合:戸籍法第102条
国籍喪失の場合:戸籍法第103条

国籍の得喪は国籍法に定められた要件を充たした時点でいわば自動的に発生するもので、届出行為の有無に左右されないため(一部事例除く)、その事実について届出が提出されないと、例えば、自己の志望で米国籍取得した方は、米国籍を取った時点で日本国籍は喪失しているわけですが、国籍喪失届により国籍喪失事実を報告していないと戸籍だけを見るとあたかも日本国籍があるかのように扱われ、戸籍謄(抄)本が取れたり、場合によっては日本旅券が誤って交付されたりすることもあり得ますが、国籍得喪の事実は既に発生しているわけでこの事実が常に優先されますので、戸籍や日本国旅券をお持ちであるからといって必ずしも日本国籍があることを意味するわけでありません
戸籍は記載すべき事実について届出があったものを反映したものに過ぎず、届出されていないことについては当然ですが反映されていません。

※ 国籍喪失者は国籍喪失届が出されると戸籍から抹消されることとなっており、これをもって戸籍上も国籍喪失の事実が反映されたことになります。

日本国籍の得喪事実届出の重要性について

  日本国籍の得喪は本人及び親族等の法的地位に極めて重大な影響があるうえ、親族以外にも利害関係者の経済活動などにも影響する事象であり、事実を正確に戸籍に反映させる必要があることから、国籍得喪の事実が発生した際は一定期間内に在外公館又は本籍役場に届け出る義務が国籍法や戸籍法において定められています。

 

 例えば米国籍を取得した後もパスポート申請時に米国籍がある事実を伏せれば日本のパスポートを取る事が可能でそのまま二重国籍でいられるなどということはありません。法律による処罰の対象となる可能性があるので、絶対に行わないでください。

 

 また、米国籍取得の事実(=日本国籍の喪失)を隠したまま身分事項の変更(結婚や出生等)を行うと、それら手続きが不実(事実で無いこと)に基づいたものとなるため、日本国籍喪失の事実が判明した場合は国籍喪失事実の発生以降に行われた不実に基づく全ての手続きが無効となり、その結果本人だけでなく家族や他の関係者の法的地位や経済活動にまで大きな影響が出ることとなります。

国籍の選択について

 日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は、一定の期限((1)18歳に達する以前に重国籍となった場合→20歳に達するまで(2)18歳に達した後に重国籍となった場合→重国籍となった時から2年以内)までにいずれかの国籍を選択する必要があります(国籍法第14条第1項)。また、この期限を徒過してしまった場合であっても、重国籍者はいずれかの国籍を選択する必要があります。国籍法上、期限内に日本の国籍の選択をしなかったときには、法務大臣は、国籍の選択をすべきことを催告することができるとされており、催告された方は、催告を受けた日から1か月以内に日本の国籍の選択をしなければ、原則としてその期間が経過した時に日本の国籍を失うこととされています。

日本国籍取得事例

  •  例1:出生時点で日本国籍の母が未婚だった場合→出生により日本国籍を取得する
  • 例2:父(日本国籍)と母(外国籍)が未婚で、出生前に認知(胎児認知)されている場合→出生により日本国籍を取得する
  • 例3:父(日本国籍)と母(外国籍)が未婚で、出生後に認知された場合→日本国籍は届出(国籍取得届)により取得する(平成21年1月改正)
  • 例4:父が日本国籍、母が外国籍で出生時点で結婚している場合→出生により日本国籍を取得する
  • 例5:日本国籍を取得する事例であるにもかかわらず出生から3ヶ月以内に出生届提出を怠った場合→日本国籍を喪失する

日本国籍喪失事例

  •  例1:日本国籍を持っていて、米国籍を申請し取得した→日本国籍を喪失する
  • 例2:日本国籍を持つ親から米国にて出生した→日本国籍は喪失しない
  • 例3:日本国籍を持つ親から米国にて出生したが、出生から3ヶ月以内に国籍留保届けを提出しなかった→日本国籍を喪失する
  • 例4:日本国籍を持っていて、婚姻すると配偶者にも自動的に国籍が付与される国の国籍者と婚姻した→日本国籍は喪失しない(しかし、婚姻等の理由により、18歳に達した後に重国籍となった者は、重国籍となった時から2年以内に日本又は外国のいずれかの国籍を選択しなければならない。)。
  • 例5:両親のいずれかが日本国籍を有し、他方の親の国の国籍は申請によってのみしか付与されない場合でその国の国籍を取得した場合→日本国籍を喪失する
  • 例6:両親が日本国籍を有し、片方の親が米国籍を取得し、未成年の子供に米国籍が付与された場合→日本国籍は喪失しない(しかし、18歳になってから20歳の誕生日を迎えるまでに日本又は外国のいずれかの国籍を選択しなければならない。)

事例

 事例1:Aさんは日本国籍のみ保有していたが、米国に移住し米国籍取得を取得した。しかし、国籍喪失の届出をしなかったため戸籍に国籍喪失の事実が反映されず、本籍地役場で戸籍謄本を請求すると問題無く取得できた。また、その戸籍謄本を添えて日本のパスポートを申請した(申請時に自身に米国籍があることは申告しなかった)ところ取得できたため、自分は日本と米国の二重国籍者であると思っていた。

 

→米国籍を取得した時点で日本国籍を喪失しているため、Aさんには米国籍しか無く二重国籍ではありません。客観的事実としては、外国人が虚偽申請により日本のパスポートを取得した、ということになります。不正に旅券を取得することや不正取得した旅券を使用することは法令により処罰の対象となりますので、速やかに旅券を返納するとともに国籍喪失届を提出する必要があります。

 

事例2:日本人男性Bさんは、事例1のAさんと同様に米国籍を取得し日本国籍を喪失したが、それを届出ないまましばらく後に米国人女性と結婚し、最寄りの総領事館で婚姻届を出した。その後、子供C君が生まれたが、Bさんは自分が日本と米国の二重国籍であると思っていたためC君の出生届を日本総領事館に提出し、それが戸籍に反映されC君も二重国籍になったと思っていた。ところが、その後Bさんの日本国籍喪失事実が判明した。

 

→C君が出生に伴い日本国籍を取得する条件として、C君出生時に両親のいずれかが日本国籍者である必要があります。母親は米国籍なので、父親のBさんの日本国籍の有無がポイントになりますが、BさんはC君が出生する前に自己の志望により米国籍を取得しており、その時点で日本国籍を喪失しているため、C君の出生時には両親とも日本国籍は無いわけで、C君の日本国籍は無効です。Bさんが国籍喪失届を提出していなかった故に、戸籍にはBさん及びC君が日本国籍者として記載されていますが、事実に基づかない誤った記載であるため訂正する必要があります(Bさんが国籍喪失届を提出することでBさんは除籍(戸籍上も日本国籍を失う)となり、C君については日本国籍を持ったことが無いので、そもそも戸籍に記載されていること自体が誤りであるとして戸籍が訂正されます。)。※C君が家庭を築き子供D君が出生した場合(Bさんの孫)、D君の日本国籍も無効となります。

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