韓国 家族関係登録制度・戸籍制度

 2008年1月から、家族関係登録制度が始まりました。
これまで、家単位でまとめられていた身分関係の登録が、個人単位での登録に変更されました。2007年までに戸籍に登録のあった方は、自動的に家族関係登録がされています。
 帰化申請や結婚手続きに必要な書類が変更になっていますので、ご注意ください。


証明書の交付

韓国の除籍謄本や家族関係登録の証明書は、在外公館(日本にある韓国領事館)で取得することができます。

証明書の交付

旧戸籍法下では,戸籍の電算:化が完了したことによって,戸籍公開主義の原則に制限を加えるために,2000年12月29日付で,戸主又は家族等でない申請人が,戸籍の閲覧,謄・抄本及び証明書の交付を請求するときには,申請書に請求事由を記載させ,私生活の秘密侵害など不当な目的が明らかな請求であるときには,その閲覧・交付及び証明を拒否できることにするなどの戸籍法規の改正があった。しかし,請求事由に対する疎明資料を添付する必要はなく,本籍だけを知っていれば事実上制限なく戸籍謄・抄本の発給を受けることができ,閲覧及び謄・抄本の交付目的が不当であると予測されるとして交付請求を拒否することができなかった。個人情報の保護と私生活上の秘密の侵害を防止するには不十分であった。個人の身分に関する微妙な事項が含まれている個人身分情報は,より高度な情報保護が要請されるため,家族関係登録法では証明書の発給申請資格及び対象等において,より厳格な制限を置くことになったのである。

家族関係登録簿の閲覧は認められない。家族関係登録簿の原本があるのではなく,電算データの形式で管理されており,電算的に管理されている情報を証明書の形態で公開できるだけだからである。

在外国民及び在外公館での証明書交付

海外に居住する在外国民も,直接市(区)・邑・面へ,郵便で登録事項別証明書の交付を請求することができる。申請人はその身分を確認できる書面を添付しなければならない。市(区)・邑・面の長は,その登録事項別証明書を申請人に直接送付する。
法院行政処長が定める在外公館(2009年2月現在,日本においては,駐日本大韓民国大使館領事部,駐大阪総領事館,駐福岡総領事館)は,証明書交付申請の受付と交付事務を処理することができる。法院行政処長が指定する在外公館は,家族関係登録電算情報処理組織により登録事項別証明書交付事務を処理する。


家族関係登録制度

家族関係登録制度

家族関係登録制度を規律する基本法規としては,「家族関係の登録等に関する法律」と「家族関係の登録等に関する規則」があり,これを補充・補完する大法院例規がある。家族関係登録法は,既存の戸籍法に代えるため,2007年5月17日法律第8435号として制定され,規則は2007年11月28日大法院規則第2119号として制定された。家族関係登録制度が2008年1月1日から施行されるのに伴い,大法院は従前の戸籍例規を廃止し,その中で家族関係登録制度でも有効に適用されうる内容のものを選別し,法改正による修正を加え,親養子(いわゆる特別養子)制度のような新たな制度の施行に伴い必要となる関連例規を2007年12月10日付で一括制定(2008年1月1日施行)し,家族関係登録事務処理の準則を定めた。

韓国戸籍制度の概要

戸籍は,個人の身分関係を法が定める手続により戸籍簿という公的帳簿に登録し,これを公示・公証する制度として,市・邑・面の区域内に本籍を定める者に対し,戸主を基準として家別に編製されていた。
2005年改正前の民法に規定された「家」は,戸主と家族で構成される観念上の家族団体であった。一家の系統を継承した者,分家した者又はその他の事由で一家を創立又は復興した者は戸主となり,その戸主の配偶者,血族とその配偶者,その他民法の規定によりその家に入籍した者が家族となり,家を構成したのである。このような民法上の「家」別に,旧戸籍法第15条で定めた各種の身分登録事項を記載したものが戸籍である。

戸籍には,戸主をはじめとして,その家族として戸主の直系尊風戸主の配偶者,戸主の直系卑属とその配偶者,戸主の傍系親族とその配偶者,戸主の親族ではない者が記載され,これらの者に関して,本籍,前戸主の姓名及び戸主との関係,戸籍の編製その他戸籍変動事由の内容と年月日,戸主及び家族の姓名・本・性別・出生年月日及び住民登録番号,戸主及び家族になっ
た原因と年月日,戸主及び家族の実父母と養親の姓名,戸主と家族との関係,他家からの入籍又は他家に入籍した者についてはその他家の本籍と戸主の姓名,戸主又は家族の身分に関する事項,その他大法院規則で定めた事項を記載していた。このように戸籍には,戸主と家族間の身分関係及び家族相互間の身分関係が記載され,家の構成員各個人の出生から死亡に至るまでの重要な身分変動関係が時間的順序によって記載されるため,戸籍によって戸主と家族の身分事項が一括的に公示された。


家族関係証明書

家族関係証明書は,本人と家族の身分事項を証明するためのものであり,登録基準地欄と特定登録事項欄だけが存在するのが原則である。家族関係証明書は,本人を基準に,父母・養父母,配偶者,子(養子を含む。)が記載され,これらの特定登録事項(姓名,性別,本,出生年月日,往民登録番号)だけが表示される。兄弟姉妹は,法律上の家族であるが,家族関係証明書には記載されない。兄弟姉妹関係は,父母の家族関係証明書を通じて証明される。

特定登録事項欄に記載される各事項について変動がある場合には,各家族の家族関係登録簿で訂正又は変更してアップデートすることになり,本人の家族関係証明書を発給するとき,連結情報によってアップデートされた情報が顕出され,証明書として発給される。したがって,特定登録事項欄は,証明書の発給時を基準として有効な情報のみを証明する。このような特定登録事項欄は,家族関係証明書にのみ存在するのではなく,各登録事項別証明書に共通して存在する。基本証明書には本人,婚姻関係証明書には本人と配偶者,養子縁組関係証明書には本人,養父母,養子,特別養子縁組関係証明書には本人,実父母,養父母,特別養子などの各特定登録事項欄が存在する。

家族関係証明書に記載された家族は,現在有効な家族関係にある者を表示する。すなわち,婚姻無効・取消又は離婚した場合の配偶者や,養子縁組の無効・取消又は離縁した場合の養父母は,家族関係登録簿の特定登録事項欄から抹消され,家族関係証明書の特定登録事項欄に記載されない。但し,家族が死亡,国籍喪失,不在宣告,失踪宣告に該当する場合には,当該家族はそのまま記載を残し,姓名欄の横に死亡等の事由が記載され,証明書として発給される。これらの事由は,親族関係消滅原因ではないため,このように区別して取扱う。

家族関係証明書には,他の4種類の証明書にある一般登録事項欄がないのが原則である。その理由は,家族関係証明書に記載される家族は現在有効な家族のみを示すものであるから,その変動事項を記載する必要がなく,その詳細な変動事項は他の各証明書の一般登録事項欄に記載されているからである。しかし,例外的に,家族関係登録簿を作成する過程で発生する錯誤記載や遺漏などを訂正する場合には,一般登録事項欄を作り,その中にこのような訂正事由を記載する。錯誤記載や遺漏した家族を後で訂正した場合,その訂正事由が記載される適当な証明書がないことを勘案したものである。また,家族関係証明書のどこにも訂正された事由が記載されなければ,訂正前後の家族事項が相互に一致しない理由を知ることができなくなる結果,相続等において混乱が発生しうるという点も考慮したものである。

2007年12月31日付の電算戸籍を基に作成された家族関係登録簿の家族関係証明書に関して,留意すべき事項は次のとおりである。

第一に,家族の中で特定登録事項欄に記載される者は,2007年12月31日を基準に戸籍に登載されている人に限り,その前に死亡,国籍喪失,不在宣告,失踪宣告の理由で戸籍から除籍された者は,家族関係登録簿を作成しないので,家族関係証明書に現れない。但し,父母・養父母の場合には,死亡等の事由で除籍されても,その姓名だけは記載されている。

第二に,本人の父母は,旧戸籍上同一の家に入籍していたのか否か及び生存の有無を問わず,その姓名だけは記載された家族関係証明書が発給される。旧戸籍には父母欄があり,その父母欄には例外なくハングルで姓名が記載されているから,可能なのである。したがって,電算戸籍情報を基礎に家族関係登録簿を作成する過程で,父母の特定登録事項すべてが電算的に自動構成されない場合にも,父母はハングルで姓名だけは記載される。勿論,電算的に自動構成が可能ならば,父母の特定登録事項がすべて記載された状態で証明書が発給されうる。但し,この場合にも,生存する父母の場合にのみ,特定登録事項がすべて記載され,死亡すれば姓名だけが記載される。

第三に,電算戸籍には表示されていなかった家族,例えば離婚後再婚した女子の場合,引収入籍(いわゆる連れ子養子)しなかった前婚配偶者との嫡出子,認知によって父の戸籍に入籍されていた婚姻外の子などは,母の家族関係証明書に記載される。


基本証明書

基本証明書は,家族関係登録簿の基本になる証明書であり,本人に関する基本的な登録事項である出生,国籍,改名,親権,死亡等が記載される。
すなわち,婚姻,養子縁組,特別養子縁組に関する事項以外で法律と規則が規定する本人の記録事項に関する事項を記載する証明書である。基本証明書に記載される事項も,発給時の状態だけが表示されることになる。すなわち,姓と本の変更がある場合,変更された姓と本が記載され,変更前の姓と本は表示されない。

基本証明書には他の証明書にはない部分がある。すなわち,登録基準地欄の下にある部分の家族関係登録簿事項欄である。ここには,登録基準地の指定,変更,又は訂正に関する事項や,家族関係登録簿の作成又は閉鎖に関する事項が記載される。

婚姻関係証明書

婚姻関係証明書は,婚姻に関連する身分変動事項を証明するものであり,本人の婚姻・離婚に関する事項と配偶者の姓名訂正又は改名に関する事項が記載される。婚姻関係証明書の特定登録事項欄には,本人と現在有効な婚姻関係にある配偶者が記載され,離婚したり,婚姻が取消又は無効となった配偶者であった者は記載されない。これらの事項は,婚姻関係証明書の一般登録事項欄に,その事由とともに姓名が記載される。

配偶者が死亡,国籍喪失,不在・失踪宣告を受けてその者の家族関係登録簿が閉鎖になったとしても,本人の婚姻関係証明書の特定登録事項欄はそのまま置かれ,姓名欄の横にその旨が記載される。これらの事由が親族関係消滅原因ではないためである。しかし,配偶者が死亡した後,生存配偶者が再婚すれば親族関係が終了するため,このときには,生存配偶者の家族関係登録簿の特定登録事項欄で,死亡した配偶者を抹消し,家族関係証明書と婚姻関係証明書の各特定登録事項欄に死亡した配偶者が記載されないようにする。但し,死亡した配偶者の閉鎖登録簿には,再婚した生存配偶者を抹消せずにそのまま置いておく。相続と関連して,死亡後再婚して親族関係が終了した生存配偶者も死亡当時は正当な相続人であるため,これを公示・公証するためである。


養子縁組関係証明書

養子縁組関係証明書は,養子縁組に関連する身分変動事項を証明するものであり,本人,養父母,養子の各特定登録事項と養子縁組,離縁,養子縁組の無効・取消に関する一般登録事項が記載される。家族関係証明書では,養子を子と表示し,嫡出子と区別せずに証明しているが,養子縁組の関係証明書には養子として表示される。離縁,養子縁組の無効・取消の場合,当事者の家族関係登録簿で相手方当事者に対する特定登録事項が抹消されるため,養子縁組関係証明書の特定登録事項欄に記載されず,一般登録事項欄にその事由が記載される。

特別養子縁組関係証明書

特別養子縁組関係証明書には,本人,実父母,養父母,特別養子の各特定登録事項と,養子縁組,離縁,養子縁組の無効・取消に関する一般登録事項が記載される。特別養子縁組申告によって甲の子が他人の特別養子として養子縁組する場合には,甲の家族関係登録簿の特定登録事項欄で甲の子を抹消し,一般登録事項欄にその事由を記録して,甲の家族関係証明書には特別養子縁組した子が現れず,甲の特別養子縁組関係証明書には特別養子縁組した子が抹消された事由が記載される。同時に,特別養子縁組を行った養父母の家族関係登録簿の特定登録事項欄に養子の特定登録事項を記録し,一般登録事項欄に特別養子縁組の事由を記録して,養父母の特別養子縁組関係証明書には特別養子縁組に関する事項が記載される。

また,特別養子縁組した子の家族関係登録簿は,これを閉鎖し,再作成する。新たに作成された特別養子の家族関係登録簿の父母欄に養父母の特定登録事項を記録し,実父母欄には実父母の特定登録事項を記録し,一般登録事項欄に特別養子になった事由を記録して特別養子の家族関係証明書の父母欄に養父母が記載されるようにする。したがって,特別養子の家族関係証明書には,実父母が父母欄から消えて,代わりに養父母が記載される。これは,特別養子縁組で実父母との親族関係がすべて終了する点を反映したものである。しかし,特別養子縁組関係証明書には,実父母と特別養父母がすべて記載され,特別養子縁組前後の変動事項を知ることができる。


国籍喪失

国籍の喪失の場合

自ら進んで外国国籍を取得する者は,その外国国籍を取得した時に韓国国籍を喪失する。自ら進んで外国国籍を取得し韓国国籍を喪失した者(国籍離脱申告をする者は除外する。)は,法務部長官に国籍喪失申告をしなければならない。
また,
①外国人との婚姻により,その配偶者の国籍を取得することになった者,
②外国人の養子となって,その養父又は養母の国籍を取得することになった者,
③外国人である父又は母から認知を受けて,その父又は母の国籍を取得することになった者,④外国国籍を取得して韓国国籍を喪失することになった者の配偶者や未成年の子で,その外国の法律によってともにその外国国籍を取得することになった者が,その外国国籍を取得したときから6か月内に法務部長官に韓国国籍を保有する意思がある旨を申告しなければ,その外国国籍を取得した時に遡及して韓国国籍を喪失したものとみなされている。

国籍喪失申告と通報

国籍喪失の申告は,配偶者又は4親等以内の親族がその事実を知った日から1か月以内にしなければならず,国籍喪失者本人もすることができる。申告書には,国籍喪失者の姓名・住民登録番号及び登録基準地,国籍喪失の原因及び年月日,新たに外国国籍を取得したときにはその国籍を記載しなければならず,国籍喪失を証明する書面(国籍離脱申告受理通知書,外国の帰化許可書謄本及び外国国籍取得証明書など)を添付しなければならない。


ご相談・ご依頼は

 

◆ 面談相談 ◆ 平日は20時まで、土曜日も対応できます。

 私どもは、必ずお客様とお会いし、お話をお伺いしてから受任いたします。
ご依頼の際にはお手数ですが、ご予約の上、事務所までお越しください。

名称 行政書士みなと国際事務所
代表者   行政書士(特定行政書士) 宮本哲也
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